絵画の制作でアクリルから水彩へ絵具が代わったのと同じ頃、本の作品制作もはじめました。
水彩を描くことであらためて素材としての紙を身近なものとして感じるようになったことや、
紙をテーマにした展覧会に参加したことがきっかけとなり、本という表現方法に関心をもつようになりました。
ばらばらな単語がつなぎ合わされて新しい連想が生まれたり、文字や言葉のもつイメージが少しずつずらされることで、
それまでとは別なイメージが現れたりと、さまざまな文字や言葉、あるいは言語に関することをモチーフとしています。
絵画作品と共通したものを持ちながらも、また別の方法であらわされた掌中の世界。それは、
いくつものイメージが集まり、散らばり、組み合わさったり、変容したりすることで紡ぎ出される物語や情景を連想させるものです。